「AI先生」って、いったい誰?
こんにちは。フリースクールで IT 担当をしているワトソンです。今日は、私たちの授業に欠かせない存在――“AI先生” について、生徒のみなさんと保護者の方に向けて、できるだけ噛み砕いて紹介してみます。難しい専門用語は避けつつ、「どんな仕組みで動いているの?」「普通の AI と何が違うの?」という疑問にゆっくり答えていくので、どうぞ肩の力を抜いて読んでみてください。
1.“脱線しすぎ問題” をやんわり防ぐ仕掛け 📑
生成 AI は面白い話題を振るとすぐ盛り上がります。でも、楽しさのあまり本筋の学習から遠ざかることもよくあります。そこで私たちは、授業を始める前に「今日のゴール」と「進行ステップ」を AI に伝えるプロンプト(指示文)を丁寧に準備しています。
- 今日は三角形の面積を求めるところまで進みたい
- 雑談が長く続いたら「そういえば面積の公式は?」と促してみて
- 生徒が公式を思い出せないときは図を描いて説明して
こうしたガイドラインを AI がそっと胸ポケットに忍ばせておくので、会話が寄り道をしても自然なタイミングでメインルートへ帰ってこられるわけです。堅苦しい軌道修正ではなく、あくまで「おっと、そういえば!」と気づかせてくれるサポーターに近いイメージを持ってもらえると嬉しいです。
2.教科ごとに “専門 AI 先生” を配置 🛠️
AI といえば万能選手の印象があるかもしれません。でも実際は、守備範囲を絞ったほうが説明がぐっと深まるもの。私たちは以下のように「担当教科」を分けています。
教科例 | AI先生の得意ポイント(抜粋) |
---|---|
国語 | 物語の構造解析・朗読指導 |
数学 | 計算手順の可視化・Python との連携 |
理科 | 実験手順のシミュレーション |
社会 | 地図・年表・出来事の因果関係 |
美術 | 色彩理論とデッサンのコツ |
一人の巨大な AI にすべてを任せるよりも、「数学なら計算ロジックが得意な先生」「社会なら年号や地図が得意な先生」と役割を分担。そのおかげで、質問に対する回答の密度や具体例の質を高めやすいと感じています。

「教科別の専門AIがいるから、苦手分野でも安心して質問できるね!」
3.理解度・リテラシーに合わせて会話をチューニング 🎓
同じ「一次関数」でも、小学6年生と中学2年生とではピンと来るポイントが違います。AI先生は生徒の
- 反応速度(答えがすぐ出るかどうか)
- 使用語彙(専門用語に抵抗がないか)
- ちょっとした表情やチャットの雰囲気(驚いたスタンプが多い、など)
を手がかりに、説明の速度・言い換え・例え話を柔軟に変えています。たとえば小学生には「坂道を上るワンちゃんの絵」で傾きを示し、中学生には「スマホのギガ数課金モデル」で比例定数をイメージしてもらう、といった具合です。「途中で置いてけぼりにされた」というストレスを最小限に抑えつつ、“わかった瞬間” の喜びを大切にしています。
4.脱線はむしろ宝物――探究型学習のスイッチを入れる 🌱
雑談を完全に禁止するのはもったいない、というのが私たちの考え方です。宇宙の話で盛り上がった流れから「光の速さってどう測るの?」と理科に接続したり、マンガのセリフをきっかけに古典文学へ寄り道したり…。
- 生徒の「好き」や「疑問」は、学びのパワーエンジン
- 行き止まりに見える話題でも、カリキュラムに橋を架けるプロンプト
この2つが組み合わされば、脱線は探究心を刺激する最高のフックになります。AI先生は「興味の芽」を摘むのではなく、そっと肥料をやりながら本筋へ誘導するイメージで動いてくれています。
まとめ 🌟
- 📑 事前プロンプトで「寄り道しすぎ」を防ぎつつ、自然に本筋へ戻れる
- 🛠️ 教科ごとに専門 AI を立てて、回答の深さと具体性を底上げ
- 🎓 生徒の理解度・リテラシーに合わせて語彙や例え話を微調整
- 🌱 雑談を探究学習のきっかけに変え、好奇心をエネルギーへ
AI先生は魔法の杖ではありませんが、適切なプロンプト設計と人間の見守りさえあれば、生徒一人ひとりの「学びたい気持ち」を広げる心強いパートナーになれると感じています。もしこの記事で少しでも興味が湧いたら、ぜひ体験授業でその空気を味わってみてください。お待ちしています!