AIは電気をどれくらい使うのか——データセンター需要は2030年に2倍超へ
AIは画面の中のソフトウェアに見える。だが実際には、巨大なデータセンターと電力の上で動いている。国際エネルギー機関(IEA)の特別報告書「Energy and AI」は、この見えにくい制約を数字で示している。
2024年時点で世界の電力消費の約1.5%
IEAによると、データセンターは2024年に世界の電力消費の約 1.5%、電力量では 415TWh を使った。国別では米国が最大で、世界のデータセンター電力消費の45%を占め、中国25%、欧州15%が続く。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 2024年の世界データセンター電力消費 | 415TWh |
| 世界の電力消費に占める割合 | 約1.5% |
| 2017年以降の年平均成長 | 約12% |
| 2030年の見通し | 約945TWh |
2030年の約945TWhは、2024年から2倍超だ。IEAは、この増加の最重要ドライバーがAIだとしている。
AI向けデータセンターは局所的に重い
世界全体で見れば、データセンターは2030年までの電力需要増加の約1割にとどまる。空調、電気自動車、産業モーターなどの方が大きい。
それでも問題が小さいわけではない。AI向けデータセンターは、アルミ精錬のような電力多消費工場に匹敵する電力を使う一方で、立地が地理的に集中しやすい。IEAは、米国ではデータセンター容量のほぼ半分が5つの地域クラスターに集中していると説明している。
つまり制約は「世界全体の電力量」だけではなく、その地域の送電網に、いつ、どれだけ接続できるかに出る。
20%の計画が遅れるリスク
IEAは、リスクに対処しなければ、計画中のデータセンタープロジェクトの約 20% が遅延リスクにさらされると見積もっている。送電線の新設には先進国で4〜8年かかることがあり、変圧器やケーブルの待ち時間も伸びている。
AIの制約は、GPUだけではない。電力、送電網、冷却、立地、許認可も制約になる。
AIは電力問題の原因でもあり、解決策でもある
IEAは、AIによる電力需要増だけを見ているわけではない。AIは電力網の故障検知、再エネ予測、送電容量の活用、産業プロセスの最適化にも使える。報告書は、AIベースの故障検知が停電時間を30〜50%短縮しうること、AIを使った送電線運用で最大175GWの送電容量を新設なしに引き出せる可能性にも触れている。
ただし、これは「AIがあれば電力問題は解ける」という意味ではない。AIを動かすインフラと、AIで効率化するインフラの両方を設計できる国や企業が有利になる、という話だ。
この記事の限界
- ここで扱った数値はIEAの2025年報告書に基づく国際見通しであり、日本国内のデータセンター立地・電力系統制約を直接示すものではない
- 2030年以降の見通しは不確実性が大きい。IEA自身も、AI普及速度、効率改善、エネルギー側の制約解消によって幅が出るとしている
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