2025.03.20 Category REPORT Reading 6 min

LLMの出力をそのまま信じてはいけない——Improper Output Handlingの実務

LLMアプリの危険は、モデルが間違うことだけではない。もっと危ないのは、LLMの出力を下流システムがそのまま実行してしまうことだ。

OWASP Top 10 for LLM Applications 2025では、Improper Output Handlingが主要リスクとして挙げられている。LLM出力の検証、無害化、エンコードを怠ると、コード実行、データ漏えい、システム侵害につながる。

AIの出力は「ユーザー入力」と同じくらい危険に扱う

LLM出力処理で見るべき境界
出力先リスク
HTML表示スクリプト混入や表示偽装
SQL/検索クエリ意図しない検索・更新・抽出
シェル/コード実行命令実行やファイル破壊
業務API誤送信、誤発注、権限外処理

従来のWeb開発では、ユーザー入力を信用しないことが基本だった。LLM時代には、モデル出力も信用しない対象になる。LLMは外部入力、プロンプト、検索結果、ツール実行結果の影響を受けるため、出力は「AIが作ったから安全」ではない。

教育AIでも同じ問題が起きる

教材生成、採点補助、保護者向け連絡文、学習ログ分析でも、LLM出力が別システムに渡る瞬間がある。誤った採点理由が成績に反映される、個人情報を含む文面が外部送信される、HTML教材に危険なコードが混ざる、といった問題は設計で防ぐ必要がある。

実務では、LLM出力を表示用、保存用、実行用に分け、実行用には人間承認とスキーマ検証を入れるべきだ。AIの文章力ではなく、境界の設計が安全性を決める。

この記事の限界

  • この記事はOWASP Top 10 for LLM Applications 2025の項目をもとに、出力処理の考え方を整理したもの
  • 個別システムの対策は、利用言語、フレームワーク、API権限、保存先ごとに設計する必要がある

出典(2026年7月7日閲覧): OWASP Gen AI Security Project「LLM Top 10」(genai.owasp.org

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UMT株式会社 取締役 / フォースネット株式会社 執行役員

IT業界25年のエンジニア(コンサル・プロダクトマネージャー15年、Python 10年)。2児の父として、AIを使った家庭学習の仕組みを自作して毎日運用し、地元・横浜/鎌倉ではAI・パソコン教室も不定期に開いている。このサイトには、教育とAIについて調べたこと・考えたことと、その道具を置いている。