音とテンポの設計——「読めない」を算数の障害にしない
低学年向けの学習ツールで、内容と同じくらい大事なのに語られないものがある。テンポだ。公開ドリルの体験設計について書く。
全問に読み上げ音声
すべての問題に、事前に生成した読み上げ音声(MP3)がついている。狙いはふたつある。
ひとつは、文字の読解力と算数の力を切り離すこと。低学年の「算数がわからない」には、「問題文がまだスラスラ読めない」が混ざっていることが多い。音声があれば、読みが追いつかない子も算数そのものに取り組める。
もうひとつは、ひとりで回せること。親が横について問題文を読み上げなくても、子どもが自分のペースでレッスンを進められる。毎日続ける仕組みでは、「親の同席が必須」は続かない原因になる。
待たせない、という設計
問題も音声も、あらかじめ全部作ってから静的なファイルとして配信している。子どもが解いている瞬間に、AIがその場で問題を作ったり、サーバーが重い計算をしたりはしない。だから画面は即座に切り替わる。
これは技術の都合ではなく、低学年の集中力への配慮だ。読み込みの3秒は、大人には誤差でも6歳には離脱の理由になる。15問がテンポよく流れて、10分前後で終わる——毎日の習慣にするには、この「軽さ」が内容の質と同じくらい効く。
派手さは足していない
正解の演出は控えめにしてある。ゲームのような派手な報酬で釣ると、報酬のほうが目的になりやすい。毎日15問が淡々と気持ちよく回る、それ自体が習慣の報酬になる設計を狙っている。このあたりの調整は公開後も、実際の利用の様子を見ながら続けるつもりだ。