「IT人材79万人不足」の中身——2030年予測を読み直す
「2030年にIT人材が79万人不足する」。教育産業の広告からニュースまで、あちこちで引用される数字だ。一次ソースに当たって、中身を確認する。
出どころは2019年の経産省委託調査
この数字の出典は、経済産業省委託「IT人材需給に関する調査」(みずほ情報総研、2019年4月公表)。2030年に最大約79万人の不足という試算で、これはIT需要の伸び率を年3〜9%、労働生産性の上昇を年0.7%と置いたシナリオの「最大値」だ。
あまり紹介されない但し書きがある。同じ報告書は、労働生産性が年5.23%上昇すれば需給ギャップはゼロになるという試算も併記している。つまり「79万人不足」は運命ではなく、「生産性がほとんど上がらなければ」という条件付きの警告だった。
生成AIは、この試算の前提の外にいる
重要なのは公表時期だ。2019年——生成AIの登場前である。生成AIがソフトウェア開発の生産性をどれだけ引き上げるかは、まさにこの試算の分かれ目だった「生産性上昇率」を直撃する変数で、79万人という数字を今後そのまま使い続けるのは危うい。不足が消えるという意味ではない。「単純な頭数の不足」から「AIを使える人材とそうでない人材の偏在」へ、問題の形が変わる可能性が高い、ということだ。
足元の待遇データ
| 項目 | 数値 | 出典 |
|---|---|---|
| ITエンジニア平均年収 | 469万円 | doda |
| 直近1年で年収が増えたIT人材 | 36.3% | レバテック |
| うち30代 | 45.1% | レバテック |
| 2025年度にIT採用を増やす企業 | 約4割 | レバテック |
この記事の限界
- 79万人試算は2019年公表で、生成AI以後の改訂版に相当する公的試算はまだ確認できていない
- AI人材の年収には権威ある公的統計がなく、民間調査(転職サービス系)に依存している。母集団の偏りに注意
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