2026.07.16 Category REPORT Reading 6 min

子どもの体力はコロナ前に戻ったのか——回復したのは中学校男子だけ

子どもの体力合計点は、令和7年度調査で前年度から向上した。ただし回復したのは中学校男子だけで、小学校男女と中学校女子はコロナ前の水準に届いていない。スポーツ庁「全国体力・運動能力、運動習慣等調査」の経年データから、回復の実態を確認する。

体力合計点は前年度から向上、しかし中学校男子以外はコロナ前未達

実技テスト8項目の合計(80点満点)である「体力合計点」の全国平均は、令和7年度調査で令和6年度と比較して、小学校は男子+0.5点・女子+0.1点、中学校は男子+0.4点・女子+0.3点向上した。

体力合計点の全国平均の推移
区分令和元年度
(コロナ前)
令和5年度令和6年度令和7年度
(概算)
小学校男子53.61点52.6点52.5点約53.0点
小学校女子55.59点54.3点53.9点約54.0点
中学校男子41.56点41.2点41.7点約42.1点
中学校女子50.03点47.1点47.2点約47.5点

令和7年度の値は、令和6年度確定値に、スポーツ庁が公表した前年度比の増減幅を足した概算値である(一次資料に絶対値の記載がないため)。この概算で令和元年度と比較すると、中学校男子だけが+0.5点前後でコロナ前を上回り、小学校男子は-0.6点、小学校女子は-1.6点、中学校女子は-2.5点前後、いずれもコロナ前の水準に届いていない。スポーツ庁自身も「体力合計点は、小中学校男女ともに前年度から向上しているが、中学校男子を除いてコロナ前の水準に至っていない」と総括している。

運動時間は増えていない——長時間層は減り、ほぼ運動しない層は増加

体力の回復が鈍い背景として、運動時間そのものが増えていないことがある。令和7年度調査では、令和6年度と比較して「1週間の総運動時間が420分以上」の割合が、小学校で男子2.5ポイント・女子2.0ポイント減少、中学校で男子0.8ポイント・女子0.4ポイント減少した。一方「60分未満」の割合は、中学校女子を除き前年度より微増している。運動する子としない子の二極化が、この1年でも進んだ形だ。

運動時間・運動意識と体力合計点の関係(令和6年度データ)

運動時間別に見ると、体力合計点の差は大きい。

1週間の総運動時間別の体力合計点(令和6年度・全国平均)
区分0〜60分未満60〜420分未満420分以上全国平均
小学校男子43.2点49.0点56.9点52.5点
小学校女子48.3点53.0点58.8点53.9点
中学校男子32.2点36.3点44.0点41.7点
中学校女子39.0点43.2点52.6点47.2点

運動が「好き」と答えた児童生徒も、体力合計点が高い傾向がはっきり出ている。令和6年度調査では、小学校男子で「好き」55.0点に対し「嫌い」41.1点、中学校男子で「好き」45.1点に対し「嫌い」30.0点と、10点以上の差がある。ただし令和7年度調査では「好き」「やや好き」の回答割合が、小学校女子だけ0.4ポイント減少し、小学校男子(+0.2pt)・中学校男子(+0.6pt)・中学校女子(+0.4pt)は増加した——単純な男女差ではなく、小学校女子だけが逆方向に動いている。

睡眠・スクリーンタイムは改善と悪化が同時に進む

令和7年度調査では、睡眠時間が「8時間以上」の割合が小中学校男女ともに増加傾向だった一方、平日の学習以外のスクリーンタイムが「3時間以上」の割合も小中学校男女ともに増加傾向にある。生活習慣の一部は改善しつつ、画面を見る時間は増え続けている。

この記事の限界

  • 令和7年度の体力合計点の絶対値は、令和6年度確定値にスポーツ庁公表の前年度比増減を足した概算であり、スポーツ庁が算出した確定値ではない。確定値は基礎集計データ(Excel等)の精査が必要
  • 本調査は小学校5年生・中学校2年生を対象とした悉皆調査であり、他の学年の状況を示すものではない
  • 運動時間・運動意識は児童生徒の自己申告に基づく質問紙調査であり、実際の運動量の客観測定ではない
  • 「体力合計点が高い/低い」と「運動が好き/嫌い」の相関は、因果の向き(運動が好きだから体力が高いのか、体力が高いから運動が好きになるのか)を区別できない

出典(2026年7月16日閲覧): スポーツ庁「令和7年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査結果」(調査結果ページ結果について(概要)PDF調査結果の総括PDF)/ スポーツ庁「令和6年度 全国体力・運動能力、運動習慣等調査の結果の概要」(PDF)/ スポーツ庁「令和5年度 全国体力・運動能力、運動習慣等調査の結果(概要)について」(PDF)/ スポーツ庁「令和元年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査結果」(報告書第1章PDF

体力運動習慣調査データ
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UMT株式会社 取締役 / フォースネット株式会社 執行役員

IT業界25年のエンジニア(コンサル・プロダクトマネージャー15年、Python 10年)。2児の父として、AIを使った家庭学習の仕組みを自作して毎日運用し、地元・横浜/鎌倉ではAI・パソコン教室も不定期に開いている。このサイトには、教育とAIについて調べたこと・考えたことと、その道具を置いている。