中3の54.6%・高3の52.4%がCEFR目標水準に到達、政府目標6割にはなお届かず——英語教育実施状況調査
文部科学省が公表した「令和7年度『英語教育実施状況調査』」から、生徒の英語力の現在地を確認する。調査対象は公立中学校・高等学校(義務教育学校・中等教育学校を含む)と、令和7年度から加わった公立中学校の特別支援学級・特別支援学校中学部・特別支援学校高等部である。
中3で54.6%、高3で52.4%
| 区分 | 割合 | 第4期計画の目標 |
|---|---|---|
| 中学生(中3) CEFR A1レベル相当以上 | 54.6% | 6割以上 |
| 高校生(高3) CEFR A2レベル相当以上 | 52.4% | 6割以上 |
| 高校生(高3) CEFR B1レベル相当以上 | 23.9% | 3割以上 |
3区分とも前年度から増加した、と文科省は整理している。ただし「第4期教育振興基本計画」(令和5〜9年度)が掲げる目標は、中学校卒業段階でA1レベル相当以上・高等学校卒業段階でA2レベル相当以上をそれぞれ6割以上、高校生のB1レベル相当以上を3割以上であり、いずれも未達の水準にある。
自治体別の目標達成状況は中学校と高校で動きが異なる
同計画は、すべての都道府県・政令指定都市で中学生のA1レベル相当以上を5割以上、すべての都道府県で高校生のA2レベル相当以上を5割以上とすることも目標にしている。
| 区分 | 令和5年度 | 令和6年度 | 令和7年度 |
|---|---|---|---|
| 中学生 A1相当以上(全67自治体中) | 28 | 37 | 39 |
| 高校生 A2相当以上(全47自治体中) | 23 | 21 | 26 |
中学生は令和5年度から2年連続で増加している一方、高校生は令和5年度の23自治体から令和6年度に21自治体へ減り、令和7年度に26自治体へ戻した。高3のA2相当以上の全国値が前年度から上昇していても、自治体単位の到達状況は同じようには動いていない。
この「達成率」が何を数えているか
この調査の達成率は、外部検定試験の級・スコア等を実際に取得している生徒だけの割合ではない。達成率には、外部検定を取得していないものの、英語担当教師がそれに相当する英語力を有すると判断した生徒——調査資料が言う「CEFR〇〇レベル相当以上の英語力を有すると思われる生徒」——も含まれる。
教師がその判断に用いた根拠は、次のとおり(複数回答)。
| 根拠 | 中学校 | 高等学校 |
|---|---|---|
| 2技能又は3技能を測る試験におけるスコア | 52.9% | 44.4% |
| CAN-DOリストに基づく自校でのパフォーマンステストの結果 | 49.6% | 44.6% |
| 公式な記録としては認定されない試験のスコア | 41.2% | 12.4% |
| MEXCBTに搭載しているCBT問題の解答状況 | 2.5% | 0.1% |
| AIツール等による英語力の判定結果 | 2.0% | 1.9% |
| その他 | 15.3% | 22.1% |
自校でのパフォーマンステストが中学校で49.6%、高等学校で44.6%と、外部試験スコアに並ぶ主要な判断根拠になっている。一方、MEXCBTやAIツールによる判定を根拠に挙げた割合はいずれも数%以下にとどまる。
授業の中身についての数字
高等学校では、英語担当教師が授業における発話の半分以上を英語で行っている割合は全体で36.9%だった。この36.9%は教師個人を数えた割合ではなく、発話に占める英語の割合を「75%以上」または「50%以上75%未満」と回答した学校(又は学科)の割合の合計である。学科別では、英語教育を主とする学科および国際関係に関する学科が74.4%、普通科が36.9%、その他の専門学科および総合学科が32.3%となっている。科目別では、英語コミュニケーションに比べ論理・表現で教師の英語による発話の割合が少ない傾向がある、と文科省は整理している。
外国語指導助手(ALT)等が英語の授業の半分以上に参画している学科の割合は、令和5年度10.8%、令和6年度13.5%、令和7年度12.2%と、約1割で推移している。
また同調査は、高等学校について、生徒の英語力(CEFR A2レベル相当以上の割合を基に算出)と諸要素との相関係数を学校単位で示している(いずれも5%水準未満で有意・両側)。最も高いのはALTの授業外での教育活動の0.38で、英語の授業以外の授業や学校行事でのALTと生徒との交流が0.28、ALTの授業参画(生徒の発言や作文等に対するコメント・フィードバック)が0.18と続き、図が「ALTの授業内外の活動」とまとめる内訳は0.18〜0.38の幅を持つ。教師側の要素は、教師の英語使用(英語による発話が50%以上の学校の割合を基に算出)が0.22、教師の英語力(CEFR C1レベル相当以上の割合を基に算出)が0.21である。ICT機器の活用(AIを活用したものを除く)は単一の係数ではなく個別項目として示され、オンライン会話(遠隔地の生徒や教師、ALT等と英語で話す交流等)が0.19、人との文字でのやり取り(電子メールやSNS、チャット等。英語で入力している場合に限る)が0.16だった。
ただし係数は最大でも0.38にとどまり、いずれも強い相関とは言えない水準である。また学校単位の相関であり、因果の向きは特定できない。ALTとの接触が多い学校で英語力が高いという読み方と、英語力の高い学校がALT活用に積極的だという逆向きの読み方は、同じデータで両立する。
調査設計の注意
- 対象は公立中学校・高等学校(義務教育学校・中等教育学校を含む)と、特別支援学校中学部・高等部。回答学校数は中学校9,101校、高等学校3,230校、特別支援学校中学部210校、特別支援学校高等部187校である。
- **令和7年度調査から、調査実施基準日が令和8年2月1日(特に指定がない場合)に変更された。**令和6年度までは各年度の12月1日時点(平成25年度は12月2日時点)である。ALT等の参画状況とICT機器の活用状況は基準日ではなく当該年度の状況を調査したものとされている。
- **令和7年度調査から、公立中学校の特別支援学級と、特別支援学校中学部・高等部が調査対象に追加された。**対象は、公立中学校の特別支援学級は外国語科について中学校の目標および内容に準ずる教育課程を編成している学級、特別支援学校中学部・高等部は外国語科について中学校・高等学校の目標および内容に準ずる教育課程を編成している学校に限られる。特別支援学校中学部・高等部については回答任意である。基準日の変更とあわせ、令和7年度の数値を前年度以前と比較する際には注意が必要である。
- 令和2年度は新型コロナウイルスの影響により調査自体が中止されている。
この記事の限界
- 本記事で扱った達成率は、外部検定取得者だけを数えた値ではなく、教師が「相当以上の英語力を有すると思われる」と判断した生徒も含む数字であり、統一された4技能試験による測定値ではない。判断に用いた根拠は複数回答の割合として示されているが、学校間・自治体間で判断基準がどの程度そろっているかを比較した結果は、参照した公表資料には示されていない
- 調査対象は公立学校であり、私立中学校・高等学校の状況は含まれていない
- 相関が示されているのは学校単位の統計的関連であって、因果関係を示すものではない
- 本記事では全国値と自治体の目標達成数のみを扱い、個別の都道府県・指定都市の値、教師の英語力の年次推移、中学校のICT活用状況の内訳は扱っていない
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