世界トップの学力、減り続ける家庭学習——2つの統計のあいだ
日本の子どもの学力は、国際比較では驚くほど高い。同時に、国内の時系列では気になる数字が並ぶ。2つの統計を並べて見る。
PISA 2022: 3分野すべて世界トップ級
| 分野 | 日本 | OECD平均 | 順位 |
|---|---|---|---|
| 数学的リテラシー | 536点 | 472点 | OECD中1位 |
| 読解力 | 516点 | 476点 | OECD中2位 |
| 科学的リテラシー | 547点 | 485点 | OECD中1位 |
3分野すべてで世界トップレベル、読解力は前回の11位から急回復した。国際的に見れば、日本の義務教育は依然として強い。
国内時系列: 正答率も学習時間も下がっている
一方、令和7年度の全国学力・学習状況調査(小6・中3、約185万人)では、主要教科の平均正答率が軒並み前年度から低下した。小学算数58.2%(前年63.6%)、中学数学48.8%(同53.0%)、中学国語54.6%(同58.4%)。
家庭学習の時間も減っている。東京大学社会科学研究所とベネッセの親子縦断調査(2024年、回収12,242組)によれば、平日の学習時間(宿題+宿題以外+塾)は小4〜6生で70.3分、中学生で92.9分、高校生で102.8分。2015年からの9年間で小学生13分・中学生14分・高校生17分の減少で、減少分の主因は「学校の宿題」時間の縮小だ。
2つの統計をどう読むか
「世界トップなのだから問題ない」とも、「学習時間減は危機だ」とも、この数字だけでは断定できない。正答率の年度比較は問題の難易度に影響されるし、学習時間の減少は宿題政策の変化を映している可能性が高い。確実に言えるのは、学力の国際的な貯金と、家庭学習の漸減が同時に進行しているという事実まで。この2本の線がこの先どう交わるか——生成AIという新変数(子どもの利用は急伸中)も加わった今、定点で追う価値のある交差点だと考えている。
この記事の限界
- PISAは15歳の3分野に限った国際テストで、「学力」全体の代理指標ではない
- 全国学力調査の正答率は年度間で問題が異なり、単純な経年比較には向かない(文科省も同旨の注意を付している)
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