2026.05.14 Category REPORT Reading 8 min

世界トップの学力、減り続ける家庭学習——2つの統計のあいだ

日本の子どもの学力は、国際比較では驚くほど高い。同時に、国内の時系列では気になる数字が並ぶ。2つの統計を並べて見る。

PISA 2022: 3分野すべて世界トップ級

PISA 2022 日本の結果(15歳対象)
分野日本OECD平均順位
数学的リテラシー536点472点OECD中1位
読解力516点476点OECD中2位
科学的リテラシー547点485点OECD中1位

3分野すべてで世界トップレベル、読解力は前回の11位から急回復した。国際的に見れば、日本の義務教育は依然として強い。

国内時系列: 正答率も学習時間も下がっている

一方、令和7年度の全国学力・学習状況調査(小6・中3、約185万人)では、主要教科の平均正答率が軒並み前年度から低下した。小学算数58.2%(前年63.6%)、中学数学48.8%(同53.0%)、中学国語54.6%(同58.4%)。

家庭学習の時間も減っている。東京大学社会科学研究所とベネッセの親子縦断調査(2024年、回収12,242組)によれば、平日の学習時間(宿題+宿題以外+塾)は小4〜6生で70.3分、中学生で92.9分、高校生で102.8分。2015年からの9年間で小学生13分・中学生14分・高校生17分の減少で、減少分の主因は「学校の宿題」時間の縮小だ。

2つの統計をどう読むか

「世界トップなのだから問題ない」とも、「学習時間減は危機だ」とも、この数字だけでは断定できない。正答率の年度比較は問題の難易度に影響されるし、学習時間の減少は宿題政策の変化を映している可能性が高い。確実に言えるのは、学力の国際的な貯金と、家庭学習の漸減が同時に進行しているという事実まで。この2本の線がこの先どう交わるか——生成AIという新変数(子どもの利用は急伸中)も加わった今、定点で追う価値のある交差点だと考えている。

この記事の限界

  • PISAは15歳の3分野に限った国際テストで、「学力」全体の代理指標ではない
  • 全国学力調査の正答率は年度間で問題が異なり、単純な経年比較には向かない(文科省も同旨の注意を付している)

出典(2026年7月6日閲覧): 文部科学省「PISA2022のポイント」(PDF)/ 文部科学省・国立教育政策研究所「令和7年度 全国学力・学習状況調査 結果(概要)」(PDF)/ 東京大学社会科学研究所×ベネッセ教育総合研究所「子どもの生活と学びに関する親子調査2024」(ダイジェストPDF

学力学習時間PISA調査データ
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サク
UMT株式会社 取締役 / フォースネット株式会社 執行役員

IT業界25年のエンジニア(コンサル・プロダクトマネージャー15年、Python 10年)。2児の父として、AIを使った家庭学習の仕組みを自作して毎日運用し、地元・横浜/鎌倉ではAI・パソコン教室も不定期に開いている。このサイトには、教育とAIについて調べたこと・考えたことと、その道具を置いている。