教員の在校等時間は平日で約30分減、それでも最多層は週50時間台——文科省勤務実態調査
文部科学省「教員勤務実態調査(令和4年度)」の確定値集計から、教師の在校等時間が前回調査(平成28年度)からどう変わったかを確認する。あわせて、2026年6月に公表された「業務量管理・健康確保措置実施計画」策定状況のフォローアップ結果から、制度側の整備がどこまで進んだかを見る。
平日の在校等時間は全職種で減った
以下は10・11月期の調査結果である。同調査は8月期・10月期・11月期の3期に分けて実施されており、長期休業中を含む8月期は別集計になっている。
| 職種 | 小学校 H28 | 小学校 R4 | 増減 | 中学校 H28 | 中学校 R4 | 増減 | 高校 R4 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 校長 | 10:37 | 10:23 | -0:14 | 10:37 | 10:09 | -0:28 | 9:37 |
| 副校長・教頭 | 12:12 | 11:45 | -0:27 | 12:06 | 11:42 | -0:24 | 10:56 |
| 教諭 | 11:15 | 10:45 | -0:30 | 11:32 | 11:01 | -0:31 | 10:06 |
教諭の平日在校等時間は、小学校で30分、中学校で31分減った。ただし減ったあとの水準も、小学校10時間45分・中学校11時間1分である。職種別では副校長・教頭が最も長く、減少後も小学校11時間45分・中学校11時間42分と、教諭を上回る。
高等学校の数値は300校を対象とした参考値であり、平成28年度との比較は資料に示されていない。
土日は中学校教諭で1時間超減った
| 職種 | 小学校 H28 | 小学校 R4 | 増減 | 中学校 H28 | 中学校 R4 | 増減 | 高校 R4 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 校長 | 1:29 | 0:49 | -0:40 | 1:59 | 1:07 | -0:52 | 1:37 |
| 副校長・教頭 | 1:49 | 0:59 | -0:50 | 2:06 | 1:16 | -0:50 | 1:18 |
| 教諭 | 1:07 | 0:36 | -0:31 | 3:22 | 2:18 | -1:04 | 2:14 |
減少幅が最も大きいのは中学校教諭の土日で、3時間22分から2時間18分へ1時間4分減っている。中学校教諭の土日は、減少後も小学校教諭(36分)の約3.8倍にあたる。
減ったのは主に部活動・学校行事・成績処理の時間
業務内容別に見ると、中学校教諭の土日で最も減ったのは「部活動・クラブ活動」で、2時間9分から1時間29分へ40分減った。土日の減少幅1時間4分の大半をこの項目が占めている。
平日で減ったのは「学校行事」(小学校26分→15分、中学校27分→15分)、「学年・学級経営」(中学校37分→27分)、「成績処理」(小学校33分→25分)、「学校経営」(小学校22分→17分)などである。
一方で増えた項目もある。「授業(主担当)」は小学校で4時間6分→4時間13分、中学校で3時間5分→3時間16分と増加し、「朝の業務」も小中とも6〜7分増えた。「授業(主担当)」が増える一方、学校行事や成績処理、学年・学級経営といった項目では時間が減っている。
最も多い層は週50時間台
1週間当たりの総在校等時間で見ると、令和4年度は小学校教諭で50〜55時間未満、中学校教諭で50〜55時間未満と55〜60時間未満の層が占める割合が高い。1週間当たりの正規の勤務時間は38時間45分である。
在校等時間の長い教諭は何に時間を使っているか
同調査は、1週間当たりの在校等時間で教諭を3グループに分け、平日の業務内容別在校等時間を比較している。
| 区分 | 週50時間未満 | 週50〜60時間未満 | 週60時間以上 |
|---|---|---|---|
| 小学校 在校等時間の計 | 9:33 | 11:07 | 12:30 |
| 小学校 授業準備 | 1:01 | 1:20 | 1:39 |
| 小学校 学校行事 | 0:10 | 0:15 | 0:31 |
| 中学校 在校等時間の計 | 9:17 | 10:53 | 12:14 |
| 中学校 部活動・クラブ活動 | 0:21 | 0:35 | 0:48 |
| 中学校 授業準備 | 1:12 | 1:21 | 1:33 |
| 中学校 学年・学級経営 | 0:15 | 0:25 | 0:36 |
小学校では「授業準備」と「学校行事」、中学校では「部活動・クラブ活動」「授業準備」「学年・学級経営」で、週50時間未満の層と週60時間以上の層の差が大きい。同調査の分析では、教諭の平日在校等時間を従属変数とする回帰分析(持ち帰り業務を含まない条件、小学校N=7,877・中学校N=8,089)で、年齢が若い、担任学級の児童生徒数が多い、担当授業コマ数が多い、教務主任・学年主任である、校務分掌数が多い教諭ほど在校等時間が長いという結果も示されている。
部活動の活動日数が多い層ほど在校等時間が長い
中学校で担当する部活動の活動日数が週6日以上(部活動ガイドラインの基準超え)である教諭の割合は6.9%である。活動日数別に見た1日当たりの在校等時間は、週0日で平日10時間12分・土日44分、週7日で平日12時間4分・土日4時間34分と、日数に沿って増える。ここまでは部活動顧問の集計結果である。
同調査では、運動部顧問について、土日に部活動指導員を活用した場合、活用しない場合と比べて部活動に係る在校等時間および1日の在校等時間が短いことも示されている。
制度側は2026年4月に新しい段階へ入った
2026年(令和8年)4月1日に施行された改正給特法(公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法等の一部を改正する法律)により、服務監督教育委員会には「業務量管理・健康確保措置実施計画」の策定等が義務付けられた。文科省が2026年6月に公表したフォローアップ結果が、施行日時点の状況を示している。
| 区分 | 都道府県 | 指定都市 | 市区町村等 |
|---|---|---|---|
| 既に策定済み | 47 | 20 | 1,420 |
| 2026年6月までに策定予定 | 0 | 0 | 139 |
| 2026年度内に策定予定 | 0 | 0 | 184 |
| 計(回答数) | 47 | 20 | 1,743 |
都道府県・指定都市はすべて策定済みだが、市区町村教育委員会等では1,743のうち1,420(約81%)にとどまり、323が施行日時点で未策定だった。調査への回答率はいずれの区分も100%である。
公表状況にも差がある。策定済みの市区町村等1,420のうち、既に公表済みは854、近日中に公表予定が544、公表時期の目途が立っていないものが22ある。都道府県47・指定都市20はすべて公表済みである。
策定にあたって保護者・地域住民等への情報発信や意見を反映する機会を設けたかという問いには、策定済みのうち「はい」が都道府県22(47中)、指定都市8(20中)、市区町村等455(1,420中)だった。市区町村等では965が「いいえ」と回答している。
在校等時間に差が見られた学校の条件
同調査の分析は、在校等時間の長短と結びついていた具体的な条件をいくつか挙げている。いずれも学校間・教諭間の横断的な比較であり、同じ学校の時間が以前から減ったことを示すものではない。
教員業務支援員が週30時間以上配置されている学校は、配置されていない学校と比べて、学校全体の1日当たりの「事務その他」「学校経営」に従事する総時間が小学校で5時間57分、中学校で7時間37分短い。また、学校徴収金の徴収・管理を教職員が関与しない方法で行っている学校の教諭(単式学級担任)の在校等時間は、単式学級担任の平均と比べて平日5日当たり42分短い。
分析ではこのほか、管理職がリーダーシップを発揮して働き方改革を進めていると認識している教諭ほど時間管理意識が高く、時間管理意識が高い教諭ほど在校等時間が短いという関係も報告されている。
この記事の限界
- 勤務実態調査の本体データは令和4年(2022年)8月・10月・11月の調査であり、2026年時点の在校等時間を示すものではない。本記事執筆時点で、文科省「教員勤務実態調査について」のページに掲載されている最新の同調査は令和4年度調査である
- 本記事が勤務実態調査から扱った在校等時間の数値は10・11月期の集計値であり、長期休業を含む8月期の集計は別である
- 高等学校の数値は、調査対象を300校とした参考値であり、平成28年度との比較は参照した資料に示されていない
- 本記事で紹介した回帰分析は持ち帰り業務を含まない条件で行われたものであり、持ち帰り業務そのものの実態は本記事では扱っていない
- 部活動の活動日数別の在校等時間は部活動顧問の集計、部活動指導員の活用状況別の対比は運動部顧問の集計であり、集計対象が異なる
- 教員業務支援員の配置や学校徴収金の取扱いと在校等時間の関係は、調査の分析結果として示された対比であり、施策が時間短縮を引き起こしたという因果関係を本記事で判定したものではない
- 「業務量管理・健康確保措置実施計画」のフォローアップは策定・公表・報告の状況を集計したものであり、計画の内容や実効性を評価したものではない。計画の策定状況と実際の在校等時間の変化を結びつけるデータは、参照した資料には含まれていない
- 参照した確定値の概要資料には公表日の記載がないため、本記事では確定値の公表日を示していない(速報値は令和5年4月28日公表と資料に明記されている)
出典(2026年7月28日閲覧): 文部科学省「教員勤務実態調査(令和4年度)(確定値)について」(概要ページ/集計【確定値】概要PDF)/ 文部科学省「学校における働き方改革等に関する調査」内「『業務量管理・健康確保措置実施計画』策定状況のフォローアップ結果」令和8年6月公表(概要ページ/PDF)
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